X-T1 写真工場

富士フィルムのミラーレス一眼デジカメの使い方がわかるブログ

【写真の基本】~ 流れる水の撮り方 ~

Nikon Coolpix P330 で撮影した渓流
シャッター速度:2秒

幻想的な「渓流」を撮影するためのポイント

渓流を写真で撮影する時の重要なポイントは「水の流れをどうやって表現するのか?」です。

動画の場合は、たくさんの画像を連続で見せることができるので、撮影するだけでそのまま水の流れを表現することができますが、写真の場合は、水の流れをたった1枚の画像だけで表現しなければならないので、動画のようにはいきません。

では、どうやって1枚の画像で水の流れを表現するのでしょうか?

それは「被写体ブレ」を利用します。

「被写体」ブレとは?

被写体ブレとは、「露光中に被写体が動いて不鮮明になること」で、動きの速いものを遅いシャッタースピードで撮影する場合に起こりやすくなります。また、シャッタースピードが遅くなればなるほど、ブレは長く大きくなります。

そして、この「被写体ブレ」という現象を意図的に利用することで、一枚の画像でも水の動きを表現できるようになります。

適切なシャッター速度は、水の流れる速さによって変わってきますが、最低でも1/30秒以上 にする必要があります。

※一般的に「被写体ブレ」を起こした写真は失敗だといわれることが多いのですが、水の流れを表現するためなどで、意図的に利用した場合は失敗ではありません。

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シャッター速度:2秒 ※内蔵NDフィルター使用

~ 渓流の「水の流れ」の撮り方 ~

ポイントは「三脚を使う」「遅いシャッター速度で撮影する」の2点です。

① 三脚を使う

水の流れを表現するには、シャッタースピードを遅くしなければならないので、なるべくではなく、できるだけ三脚を使いましょう。

三脚は中型・小型で軽量なものがおすすめです。それと、必ずローアングルに対応しているものにしましょう。なぜなら、三脚がローアングルに対応していると、低い位置から迫力ある水の動きを撮ることができるからです。

ローアングルに対応している三脚
※管理人の三脚「SLIK ABLE 400 DX-LE」。ローアングル対応で脚が大きく開きます。

また、カメラがコンパクトカメラの場合はミニタイプの三脚でも十分です。

三脚がない場合でも、カメラやレンズの手ブレ補正機能を利用することで水の流れを表現できますが、手持ち撮影の場合は1秒前後のスローシャッターが限界で、ややもの足りません。十分な水の流れの表現するためには、やはり三脚が必要です。

Nikon Coolpix P330 で撮影した渓流
シャッター速度:1/30秒 ※1/30秒でもある程度水の流れは表現できます。

② スローシャッターで撮影する

シャッター速度が速いと、水の動きがピタリと止まってしまったり、動いているように見えても動く量が少ない中途半端な写真になってしまいます。なので、シャッター速度はできるだけ遅くします。

シャッター速度を遅くする方法は以下の4つです。

  • Sモードにしてシャッター速度を遅くする
  • Aモードにして絞り値を大きくする(絞り込む)
  • ISO感度設定を低くする
  • NDフィルターを使用する

<解説>

・Sモードにしてシャッター速度を遅くする

撮影モードを「シャッター速度優先モード(Sモード)」にセットし、シャッター速度を下げて撮影します。

この方法は、意図したシャッター速度で撮影することができますが、被写体が明るくなると絞り値が自動的に大きくなるので 回析ボケ(小絞りボケ)が起こります。

・Aモードにして絞り値を大きくする(絞り込む)

撮影モードを「絞り優先モード(Aモード)」にセットし、レンズの絞り値をできるだけ大きくして撮影します。

この方法も、簡単にシャッター速度を遅くできますが、やはり、絞り値を大きすることになるので 回析ボケ(小絞りボケ)が起こりやすくなります。

ISO感度設定を低くする

ISO感度設定が低くするとセンサー感度が下がるので、その分、シャッター速度を遅くすることができます。また、ISO感度設定は低い方がノイズが少なく画質も良くなるので一石二鳥です。できるだけ低くすることをおすすめします。

ただし、画質をやや落として応急的な低感度撮影を可能にしているカメラもありますので気を付けてください。

NDフィルターを使用する ※おすすめ!

レンズに入る光量を減少させるNDフィルターの使用も、シャッター速度を遅くする方法の一つで、管理人が最もおすすめする方法です。

なぜ、おすすめなのかというと、それは「絞り値を大きく絞らずにシャッター速度を遅くできるため、回析ボケ(小絞りボケ)を防ぐことができ、高画質のまま水の流れを撮影できる」からです。

フィルターなのでレンズへの取り付け取り外しがやや面倒ですが、キレのある渓流写真を撮影するためには欠かせないアイテムです。

NDフィルターを内蔵しているカメラもあります。

NDフィルターについて>

NDフィルターには、光量の減少効果を連続的に変えられる「可変式」と、1絞り分、2絞り分、3絞り分・・・と光量の減少量が固定されている「固定式」の2種類があります。

・「可変式」は1枚で固定式NDフィルター数枚分の効果を得られるので便利ですが、安価な製品は「Xムラ」といわれるX形の明暗のムラが発生するので、クチコミで良く確認してから購入した方が良いでしょう。

可変NDフィルター 77mm X状ムラなし ND8-ND128フィルター 薄型 減光 レンズフィルター K&F Concept【メーカー直営店】(アマゾン)

・「固定式」はフィルターの枚数が増えますが、可変式に比べると安価(数枚セットで2,000円前後~)で、Xムラもなく安心して使用することができます。

Neewer 52MMニュートラル濃度ND2 ND4 ND8 ND16フィルターとアクセサリキット レンズペン、フィルターポーチ、マイクロファイバークリーニングクロス付き(アマゾン)

NDフィルターのデメリット ~

実は、NDフィルターにはデメリットがあります。それは、撮影した画像全体がやや青っぽくなることです。ただし、これは撮影後の色調整で補正できるのであまり気にする必要はありません。また、青っぽくなると幻想的な雰囲気にもなるので、このデメリットは利用価値があります。

<色調整前>

Nikon Coolpix P330 で撮影した渓流
シャッター速度:6秒 ※内蔵NDフィルター使用、色調整なし

<色調整後>

Nikon Coolpix P330 で撮影した渓流
シャッター速度:6秒 ※内蔵NDフィルター使用、色調整あり

備考・まとめ

いかがでしたでしょうか?

水の流れが絹糸のように見える幻想的な渓流の写真は「三脚」と「NDフィルター」があれば誰でも簡単に撮ることができますので、ぜひ、この記事を参考にお試しください。それでは。(^^♪

END